2010年6月アーカイブ

時価と乖離して高く評価されがちな、
市街化区域内にある山林の評価額をどうしたら時価に近い価格で評価できるのか?
つまりどうしたら「純山林」としての評価が可能になるのか?


以前、方法は2通りあるとお伝えしました。

1つめは、経済合理性から判断する方法。

「介在山林」を広大地ではなく「純山林」として評価するには  ~その1~


2つめは、現実的に宅地造成が不可能な急傾斜地だということを証明する方法。

傾斜がそれほどなければこの方法は使えませんが、
斜度が30度以上であれば、使えます。
この方法は以下の法律に基づいています。

・急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律

「第二条  この法律において「急傾斜地」とは、傾斜度が三十度以上である土地をいう。」

この法律で規定される「急傾斜地崩壊危険区域」内においては、
「のり切、切土、掘さく又は盛土」などの行為は都道府県知事の許可を受けなければできません。

・宅地造成等規制法

この法律で規定される「宅地造成工事規制区域」では、

(1) 切土で、高さが2mを超える崖(30度以上の斜面)を生ずる工事
(2) 盛土で、高さが1mを超える崖を生ずる工事
(3) 切土と盛土を同時に行う時、盛土は1m以下でも切土と合わせて高さが2mを超える崖を生ずる工事
(4) 切土、盛土で生じる崖の高さに関係なく、宅地造成面積が500㎡を超える工事

は都道府県知事等の許可が必要です。


要は、急傾斜地で宅地造成を行うことを積極的に認めていないということです。

そして急傾斜地の目安として斜度30度です。


対象地が斜度30度以上あれば、宅地造成は不可能であるとして純山林としての評価も可能です。

斜度を計測するには、

・現況測量を行う
・等高線の記載された地図を入手し、机上で斜度を計測する
・現地で斜度計にて計測する

私は30度以上かどうかを簡単に計測するために、
これを使っています。

レーザー距離計

みらい総合鑑定では「広大地評価でなく純山林評価となることの意見書」を作成しております。
ご希望の先生方は純山林評価が可能かどうか、まずはお電話にてお問い合わせください。

マンション適地とは?

広大地の判定にあたっての「マンション適地」とは、
「マンション用地に適した土地」のことです。

つまり分譲マンションデベロッパーが分譲マンション用地として買いたい、
不動産業者が賃貸マンション用地として買いたい、と思うような土地のことです。

ここでは分譲マンション用地に適した土地に関してお話しします。

毎週金曜日から土曜日にかけて、新聞の中に分譲マンションの売り出し広告が
織り込まれているのを多く目にされるかと思います。

それらのマンションは、おそらくファミリータイプの分譲マンションで、
最寄駅から10分以内、総戸数が30戸以上、というものが多いと思います。

総戸数30戸というのは、敷地面積にすると
容積率200%の場合は300坪、容積率300%の場合は200坪くらいです。


つまり、マンション適地とは、ズバリ

「最寄駅から徒歩10分以内で200坪~300坪以上の土地」

です。


もちろんこれは絶対要件ではありません。

その時々の経済情勢、マンションデベロッパーの経営状況、エリアの市場動向、
地価動向、戸建分譲業者の動向等によって異なります。

ですから最終的な判断は個別に市場分析を行ってからになります。


ちなみに、マンション適地かどうかの判断については、
いわゆる16年情報で以下のように通達されています。

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「平成16年6月29 日付資産評価企画官情報第2号『財産評価基本通達の一部改正について』通達のあらましについて(情報)」

『評価対象地について、中高層の集合住宅等の敷地、いわゆるマンション適地等として使用するのが最有効使用と認められるか否かの判断は、その土地の周辺地域の標準的使用の状況を参考とすることになるのであるが、戸建住宅とマンションが混在している地域(主に容積率200%の地域)にあっては、その土地の最有効使用を判断することが困難な場合もあると考えられる。このような場合には、周囲の状況や専門家の意見等から判断して、明らかにマンション用地に適していると認められる土地を除き、戸建住宅用地として広大地の評価を適用することとして差し支えない。』

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つまり、マンション適地か、戸建分譲用地かの判断が微妙なときは、広大地として評価してよい、ということです。


判断に迷う、または自分の判断が正しいか確かめたい、という場合は
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広大地を活用した相続税対策~その1~

広大地評価を適用するために、
相続が起こる前から手を打っておくと有効な場合があります。

その場合にポイントとなるのが「面積」です。


例えば、相続予定財産に次のような土地があったとします。

「最寄駅から徒歩3分で、容積率が300%、開発許可基準面積が500㎡のエリアにある1,000㎡の駐車場」


こういった土地は一体地としてなら明らかにマンション適地と思われます。
しかし評価単位を500㎡ずつに分割できれば
マンション適地ではなくなります。
(不合理分割とならないように、です)


なぜかといいますと、東京近郊のマンションデベロッパーは
容積率300%のエリアで採算をとるためには
土地面積200坪(660㎡)を最低限必要とするからです。

ですから、例のような土地は500㎡ずつに2分割できれば
2画地ともマンション適地ではなくなり、
広大地に該当する可能性があります。

また650㎡と350㎡の分割なら650㎡の画地のみ広大地に該当する可能性があります。


マンション適地でないとすれば、戸建分譲用地の可能性が高くなりますよね。

もちろん、接する道路やその幅員、敷地形状などをよく吟味し、
開発道路が必要となるように面積を分けておく必要がありますが。


このように広大地に該当するような面積に、
利用区分、評価単位を事前に分けておくと
相続税の節税対策としては有効になります。

地主さんが空き地に、相続対策・有効活用として称して
2階建てアパートを建てる例はよくあります。

借り入れをしてプラスの課税財産を減らせば確かに相続税の節税対策にはなります。

しかし、それが本当の意味での土地の有効活用、
つまり土地のポテンシャルを最大限発揮する利用方法かといえば
そうではない場合が多いように思います。


とにかく借金(マイナスの財産)を作ることを目的に建てますから、
容積率を消化しきっていない場合も多く見受けられます。

また分譲された2階建ての専用住宅が建ち並ぶ閑静な住宅街に、
贅沢に土地を使った2階建てアパートもよく見かけます。

このような広大な(主に500㎡以上)土地は、仮に更地で売りに出されれば
戸建分譲されるケースが多いでしょう。

こういったケースは、広大地評価の観点からいえば、
「既に開発を了した宅地」
には該当しないといえます。

市場性から判断してその土地のポテンシャルを最大限生かす利用方法は
「戸建分譲用地」ということができ、
更に開発道路(つぶれ地)の新設が必要な画地条件であれば
広大地評価を適用できます。


2階建てアパートが建っていても、広大地適用をぜひ検討してみてください。
悩ましい時はこちらをご利用下さい。

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